『EL REY』歌詞対訳 ※原詞は公式サイトに掲載されています。
今作は前作の様に明らかなストーリーを歌ったものよりも、『THE HIT PARADE』や『WATUSI』の頃のアプローチに近い、言葉の響きに拘ったナンセンスな、時にあまりに馬鹿馬鹿しいライミングや台詞回しが目立つ詞が大半を占めるため、日本語に変換するよりもまずは原詞を追いながら曲を聴くのが楽しいと思いますが、参考までにどんな内容を歌っているのかは下記訳詞をご覧頂ければと思います。(YOSHI@TWP-CINERAMA)- Santa Ana Winds (de Castro/Gedge)
彼女の友達の最後の一人が家に帰るまでの間、僕らはずっと視線を交わし続けた
僕の心臓の鼓動は速くなる
家の外ではサンタ・アナ・ウインズ*1の熱風が吹き荒れる
家の中では起こるべきではない何かが巻き起こる
※甘くこう囁く「あなたも私に惚れてるんでしょ?
私の全てはあなたのものよ」
その時、僕にはガールフレンドはいないフリをしてみたんだよ
そんなに見つめられたら、どうしたらいいんだい
彼女は「あなた、大当たりって顔してるわよ*2」なんて言うものだから、僕らは大笑いしたけれど、
僕が引き当てたものはあまりにもリスクが大き過ぎる
そのおかげで多くの物を失う訳だから
※2回繰り返し
- Spider-man On Hollywood (McConville/Gedge)
スーパーヒーローだ!と思ったらハリウッドのスパイダーマンか
スーパーモデルか!と思ったら全く不似合いな髪型の彼女か
そう、パッと見た感じと実物とのギャップといったらパロディ真っ青だな
昨日の夜はUFOだ!と思ったら、当たり前だよ、ただの飛行機ですよ
あれ?ウィノナ・ライダー?なんて思ったらただの見間違いでしたよ
何でもよく見てみたら、違うものだって分かりそうなもんなのにね
※ねえ、でも笑っちゃうよね?
君はずっと僕の彼女だと思っていたし、実際ずっと側にいてくれると思ってたのに...
さっきの話と同じだ。どうやらただの勘違いだったみたいだよね
流れ星だ!と思ったら、ええ、ただの人工衛星ですよ
君は僕が知っていた君に違いない!と思ったけど、もう確信持てないですよ
きっと君が出て行こうとしているから、感傷的になってるんだろうな
※繰り返し
本当笑っちゃうよ
君はずっと僕の彼女だと思ってたのに
でも、僕が間違ってましたよ
(早く別れるべきだったのにね!)
- I Lost The Monkey (Gedge/Cleave)
いや、わからないんだ
まあ、僕が傷つけたと思うし、
君を避けるための口実を作った事で、君を困らせたのも分かってる
なんて子供じみた行為だったんだろうってね
※だって、君に戻って来て欲しいだけなんだ
全部過ちだった
僕らの関係が危機にさらされていた事も知らずにね
全く意味の無いゲームに興じていただけだったんだ
いや、言わなくていいよ
残り何回プレイ出来るかは分かっているから*3
ようやく分かったよ、君は若い男を見つけたんだね
別に僕が仕向けたわけじゃないよ
正直に言うよ、ただ教育して差し上げただけですよ
全部お見通しだったって?
だって君は走って戻って来る替わりに言い放った捨て台詞がこうだから
「分かったわ、それがあなたの本心ならね!」
※繰り返し
- Soup (Ramsay/Gedge)
これで彼が4本目のボトルの栓を抜いたなんて、彼女は信じられかった
二人がもう1時間も無駄話に話を咲かせていたなんて、彼は信じられなかった
彼は彼女のグラスにもう1杯ワインを注ぎ、朝日が昇るのを見つめていた
彼は言う「許されるなら、君を愛したいんだ」
彼女はこう返した「でも坊や、あなた私に出逢ったばかりじゃない」
じゃれ合い、笑い合い、いちゃつき合って、夢見心地に
でも彼女の内なる声が、こう叫ぶ
※あんたにやるスープは無いよ*4
あんたにやるスープは無いよ
あんたにやるスープは無いよ
あんたにやるスープは無いよ
彼は言う「起きないでいいよ、ちょっとこれから用があるんだ」
彼女メイクも落とさないその顔で、彼が去って行く所を見送った
若い彼は何とか彼女を満足させたが
彼女はもう分かっていた、もう彼が電話して来ない事も
※繰り返し
- Palisades (de Castro/Gedge)
何かがおかしいって思わないか?一晩中口づけさえ交わさず、会話も無いなんて
君が僕の元を去っていくなんて突然言われたって
僕は何て言って引き止めたらいいんだ?
女性って自分がどう感じているのか率直に話すものだって思っていたけど
君ときたらそうやって何かをひた隠しにするんだね
で、君はずっとそういう風に思っていたんなら、
一体何が間違っていたのか教えてくれないか?
ああそう、「じゃあ悪いけど、もう行かなきゃ」っていう以外に
言う言葉も無いわけだ
☆君は僕に情けをかけたつもりなんだろうけど、
そんな事はどうだっていいよ
ただ僕は理由が知りたいだけなんだ
※もう愛してはくれないんだろう
もう愛してはくれないんだろう
別に他の男がいる訳じゃないっていうけど、ある意味辻褄は合うよな
一体僕は何と戦ったらいいのか分からないけど、
この事について話合う余地は無いのかい
☆繰り返し
※2回繰り返し
- The Trouble With Men (Ramsay/Gedge)
あの意味深な微笑みを浮かべて君が近づいてきた
もう君の虜だよ
でも僕の横にいるあの男にキスするまでの話だけどね
ああ、僕だってもうちょっとスリムになりたかったよ
でも僕はこうやって、奴の替わりに君と連れ立ってこの部屋を出て行く所を
想像しているんだ
※「こんにちは」なんて親しげに言わないで
君は僕には不釣り合いだし、
話しかけられても高望みするだけだから
またこの週末、僕の妻を愛する替わりに、
君が僕のガールフレンドだったら、なんて妄想に耽って
貴重な時間を無駄に過ごす事になるんだろうな
ほら、またこの感覚...
これって「The Trouble With Men」の世界かな。
それとも「Which Brings Me To You」?*5
※繰り返し
- Model, Actress, Whatever... (de Castro/Gedge)
君を見つめている時...とは言ってもjpg画像だけどね(ため息)
でも君の顔を食い入る様に見つめていると、写真ではなく、
その奥底にあるものを見ているんだ
君が寝そべっているその椅子...それって君の寝室の?その部屋で撮ったのかい?
君のその姿が、モニターの前にいる何百万人の男達を釘付けにしているって
知っているのかい?
君は僕が会えるどんな女性以上の存在だよ、完敗だね
君が罠を仕掛けるんなら、誰だってそこにいたいって思うはずさ
※だって君はそんなにまで狂おしいまでの美しい瞳をしている
男達が君のものすごい魔力に気がつくその時
世界は君にひれ伏す
でもまだ僕はこうして、君を見つめている...
※繰り返し
- Don't Take Me Home Until I'm Drunk (McConville/Gedge)
夜空が星で埋め尽くされている
彼女はどれが火星か指差して教えてくれる
二人で腕を絡めながら、古い樹の幹に寄りかかりながら
『ティファニーで朝食を』のオードリー・ヘップバーン*6を真似ながらこういうんだ
「酔っぱらってから家に送っていってね...もうかなり、出来上がっちゃってるけどね」
僕らは次のデートを約束しようとした
彼女は「僕に会ったのは運命だった」って
「そうだね」僕は返したけど、そんな手には引っかかるものか
でも夜が終わるその時、僕らはキスをした...
正直に言うと、不安で震え上がっていたんだ
それから僕はこう言った「君と恋に落ちたんだ」
彼女の返事をよく覚えている「私もあなたの事好きよ」
今考えたら、あれは警告だった
あの何気ない一言は、彼女が僕のものにならないっていう意味だったんだ
明くる日、僕の携帯に入ったメールには
「彼氏の事話したかどうか忘れちゃったけど、もう一度前の婚約者とよりを戻す事にしたの。
とにかく、ごめんね。」だってさ
それから、昨日の晩の事を考えたんだけど、
もうちょっと何か出来ることは無かったのかな、なんて思ったんだ
でも内心、僕が何も見えてなかったんだなって思う
彼女は自分に決心させる為に僕を利用したんだよ
きっともう一度、僕は同じヘマをやると思うね
僕はこう言った「君と恋に落ちたんだ」
彼女の返事をよく覚えている「私もあなたの事好きよ」
もう1度言おうか「君と恋に落ちたんだ」
彼女の返事はこうだった「私もあなたの事好きよ」
- The Thing I Like Best About Him Is His Girlfriend [Santa Monica And La Brea Version] (de Castro/Gedge)
[僕から彼女へ]
ずっと思っていたことなんだけど、君には一度も言わなかったよね
単純な話、僕は偽りの生活を送っていたんだ
でももうたくさん
危険を承知で言うよ、もう迷わない
彼の事で一番好きなのは、彼女の愛らしいガールフレンドなんだ
[彼女から僕へ]
このメールをもらうまで、元気だったんだけど
そうね、私もあなたに惚れてるの
でも私の世界を変えろっていうのは出来ない相談ね
[僕から彼女へ]
友達のガールフレンドを奪うつもりじゃなかったけど、
でもそうなったら泥棒と一緒だね
僕が君に良くしてあげるのはお互い分かっているのに、やめるっていうのかい?
[彼女から僕へ]
この事でずっと頭がいっぱいだったんだけど、
確かにありがたいけど、もし彼があなたが今言った事を聞いたら、
きっと完全にズタズタになるわね
[僕から彼女へ]
信じて欲しいんだけど、気まぐれで言ってるんじゃないんだよ
僕だって悪いって分かってるさ
僕の元に来てくれるんなら、奴との面倒な話し合いもするつもりさ
ずっと君みたいな女の子を捜していたんだ
そしていつでも、君が僕のすぐ近くにいた
奴も君を愛してるのは分かってるだろうけど、
君は僕の側にいるべきだよ
だから危険を承知で言うよ、もう迷いはない
彼の事で一番好きなのは、彼女の愛らしいガールフレンドなんだ
[彼女から僕へ]
なんでもっと早く気持ちを伝えてくれなかったの
シュールな話よね
気持ちの整理が付かないから、時間をちょうだい
そうね、あなたの言う通りよ、あなたの事を考えた事もあったわ
でも現実離れしてる話だから、とにかく今は時間が必要なの
- Boo Boo (de Castro/Gedge)
そうか、もうこんな時間か
店のウェイターたちが片付けを始めている
でもちょっと待って、どっちにしても彼は君の帰りを気にしてないよ
もしこのまま別れてしまったら、もう1週間ずっと僕は自分にハッパをかけなくちゃね
こんな風に話す機会ってそうないからね
きっと「じゃまたね」なんて言ったら後悔するね
これは僕が一番大切にしたい瞬間だから
そんな訳で、勇気を振り絞って、君を引き止めているんだよ
※分かっているのかい?ねえ?なんだよ!
君を呼び出したのは他でも無いよ、君の事をまだ愛しているからなんだ
僕のグラスに並々と酒が注がれる時、君の目はキラキラと光っている
こうやって君が彼の事を話すのを聞くのは嫌なんだよ
君があいつといる所を見るのは、君に会えない事よりはマシさ
僕らにあんな“お楽しみの時間”が無かったとしても
君は別れられないんだな
※2回繰り返し
- Swingers (Gedge/Cleave)
ねえあなた、そんな風に口を尖らせないでよ
私が何の話をしているのか把握しているんでしょ
何か言いたげなその眼、あの長い抱擁
顔に全部出てるわ「さあここに来ればいいんだから」って
大げさにいってるんじゃないわ、ありのままを言ってるのよ
やれるからって誰とでも寝ていいなんて事は無いのよ
『素直な悪女*7』のブリジッド・バルドーになったつもり?
私の言ってる事、分かってるわよね
あなたの行いは度が過ぎるわ
※でもあなたは私のガールフレンドだったのよ
最後までただ一人の人
私がチェックアウトするまではね
ええ、あなた言ったわよね、自分の生き方について
また一人になるのはうんざり、って言ってたのどなたでしたっけね?
じゃ、まあその時まで...
※繰り返し
あなたは私のガールフレンドだったのよ
最後までただ一人の人
自制を期待しちゃいけないかしらね?
脚注解説
- Santa Ana Winds
*1:この曲名は、南カリフォルニアでは晩秋から冬にかけて吹くという熱風の名前から取られている。去年2007年10月にカリフォルニア州南部で起きた大規模な山火事(これによりほぼ東京都の面積分の森林が消失した)はその熱風が主な原因となっており、CNNやABCの気象ニュースなどでも当時よく見かけた単語であった。 *2:「Face it, Tiger, you just hit the jackpot」はデイヴィッド・ゲッジお得意とするアメコミ・ネタで、本作の歌詞にも登場するスパイダーマンから、有名なヒロインのMJの台詞を引用。ちなみに本作の人称代名詞以外の最多登場ワードはこの曲にも登場するgirlfriendの12回。
- I Lost The Monkey
*3:この曲名は、文字通りの意味というより、喧嘩して仲直りしようとしている二人の関係を猿が主人公のゲームに喩えて、このエラーであと何匹猿が残っているのか、つまりは、あと何回プレイ出来るのか、ということを表しているのだと思う。こういうエモーショナルな曲調と内容が微妙に合っていない様なストーリーが組合わさるという楽曲が度々生まれるのも、デイヴィッド・ゲッジ作品のユニークなポイントの1つ。
- Soup
*4:曲目解説で触れている通り、この「No Soup For You」には元ネタがある。1989年から米NBCで放送されていた、NYを舞台にしたシチュエーション・コメディもののTVシリーズ『Seinfeld(邦題“となりのサインフェルド”)』で特にファンに人気の高いデリを舞台にしたエピソード「No Soup for You」というものがあり、その劇中でもこのまんまのフレーズの台詞が登場する。しかしながら、どうしたってこの「Soup」という言葉にデイヴィッドは別の意味深な意味合いを持たせようとしたのが伝わって来てしまうストーリー描写ではある。
- The Trouble With Men
*5:この2つのフレーズはそのライン通りに訳してもいいと思うのだけど、おそらく新旧の小説のタイトルを引用しているのではないかと想像する。「The Trouble With Men」は「女の言い分」という邦訳でも知られるコーリイ・フォード著の1953年発表の短編(ハヤカワ文庫『わたしを見かけませんでしたか?』所収)。「Which Brings Me To You」は比較的最近の2006年刊行のSteve AlmondとJulianna Baggottの共著。前者は中高年の男性を主人公にした女性に対するユーモアと皮肉たっぷりな小品(だったような気がする)。後者は未読ながら、海外新聞社サイトの書評を参考にするとセクシャルな話題が多い往復書簡の体を為す小説だという。という事で本の内容や意味はどうあれ、ここは素直にちょっと小太りなおじさんのあこがれの人妻もしくは別の男性の恋人に対する揺れる気持ちを表した箇所と捉えた方がいいと思う。
- Don't Take Me Home Until I'm Drunk
*6:Holly Golightlyは映画『ティファニーで朝食を(Breakfast At Tiffany's')』でオードリー・ヘップバーンが演じた役名。
- Swingers
*7:「And God Created Woman」はブリジッド・バルドー(デイヴィッド・ゲッジのフェイヴァリット・シンガーの一人)が主演した1956年公開の映画『素直な悪女(Et Dieu... crea la femme)』のアメリカ公開時のタイトル。ただし、このストーリーで引用されるほどのセクシャルなシーンは実際にはそんなに無い。それにしても、シネラマ時代以上に、結構ベタな映画からの引用が目立つ作品である。
- Japanese translation by YOSHI@TWP-CINERAMA (last modified : 1st August, 2008 / first published : 1st August, 2008) |