The Lonelist Time Of Year [7" Version] / Memento Mori
FORMAT: 7" vinyl single
RELEASE DATE: 16th December, 2022
LABEL: Clue Records
CATALOGUE No.: CLUE112
TRACKLISTING: Side A - The Lonelist Time Of Year [7" Version]
Side B - Memento Mori
【解説】
毎月第3金曜日に2,400枚限定でリリースされてきた30年ぶりの月刊7インチ・シングル・シリーズ『24 Songs』の締め括りとなる第12弾。タイトルからしてあからさまなクリスマス・ソングであるA面の"The Lonelist Time Of Year"は前回(1992年)の月刊シングル・シリーズ『The Hit Parade』の第12弾だった"No Christmas"、2008年の限定コンピレーション・ボックス『How the West Was Won』収録の"Holly Jolly Hollywood [Featuring Simone White]"に続く、TWP史上ではオリジナルのクリスマス・ソングとしては3曲目となる。本シリーズではどのA面曲もMVが作られたものの、過去の配信ライヴで演奏された時の映像にスタジオ録音版を被せたものだったり、ジャケット写真の一部がアニメーション的に動くだけのものだったり、正直なところ急場凌ぎの中途半端なものが定番となっていたが、今回本シリーズでは初めてCGも用いた、いかにもMV然とした映像が製作された。昔からよくあるセンチメンタルな"クリスマス・ソング"マナーを踏襲した切ない曲調が特徴的とはいえ、本シリーズの10月分から顕著になったエモーショナルなメロディとハーモニーの融合が見事で、シリーズの大団円に相応しいドラマティックな名曲となった。個人的にはCinerama期から続くDavidのABBA好きがあからさまに顕された1曲でもあると思う。それにしても、本シリーズで「7" Version」と記された曲は、この曲も含めエンディングのこれからクライマックス、という肝心なところでフェードアウトしてしまうので、何ともやるせないものがある。いつか出るであろうコンピレーションが出るまでは、フルレングス版が聴けるMVと各サブスクリプション・サーヴィスで楽しむことにしたい。
もう片方の"Mement Mori"は同年4月の英国ツアーでは披露されていた1曲。タイトルは日本でも著名な写真家やバンドが作品名に冠するほど、昔から表現のモチーフとしてはあまりにも使い古されたラテン語の警句(「人に必ず訪れる死を忘れるな」)。しかし「世界は君を待ってくれない/君は行動しなければならない/ここから山は見えるが/それほど高くない様に見える」といったどちらかというと希望に満ちた歌詞からは、このタイトルから連想される死の匂いや気配みたいなもは感じさせない。思わず胸に迫るコーダの展開も、本シリーズの文字通りのエンド・ロールの様でもある。なお、歌詞に歌われた山とはワシントン州の雪をかぶったカスケード山脈とのことで、これもまた冬の歌ということになる。