- Never Said
- Don't Be So Hard
- Everyone Thinks He Looks Daft
- Once More
- Nobody's Twisting Your Arm
- This Boy Can Wait
- A Million Miles
- I'm Not Always So Stupid
- Anyone Can Make A Mistake
- It's What You Want That Matters
- What Did Your Last Servant Die Of?
- Give My Love To Kevin
- Shatner
- My Favourite Dress
- You Should Always Keep In Touch With Your Friends
- Felicity
- It's Not Unusual
- Getting Nowhere Fast
作品概要/解説 ザ・ウェディング・プレゼント(以下通称のTWPとして表記)はかつて、ブートレグ対策も兼ねて通信販売とライヴ会場のみでオフィシャル・ライヴ・カセット・シリーズを販売していた。1987年からほぼ1年に2巻のペースで、1997年までに全17巻が販売され、現在では全て入手困難となっている。
この2枚組CDは2007年10月に行われたデビュー・アルバムの『George Best』の発売20周年を祝う記念ツアーに合わせて、まさにそのアルバムの発売前後に録音されたカセットの第一巻と第二巻をリマスターした上でCD化したもので、『George Best』当時のラインアップによるライヴ・ステージを収めたCDとしては初のものとなった。ライナーノーツは当時のドラマーだったオリジナル・メンバーのShaun Charmanが担当し、ジャケット写真は『George Best』のものをベースにアレンジしたものになっているのも大きな魅力になっている。
本来ならば、TWPの6枚組ピール・セッション・ボックスのライナーノーツ内でも発売が予告されていた、『George Best』の20周年記念エディションが同じ日に英Sanctuaryから発売される予定だったのだが、非常に残念な事にいくつかの法的な問題がクリアにならなかったとの理由でキャンセルになり(ちなみにLP盤の曲順に戻され、初期PVを収録したDVDとの2枚組になるはずだった)、結局このアルバムのみが発売された。しかし、バンド側としては向こう数年の間にその『George Best』の新装版のリリースを考えているとの事だ。
とは言えこのライヴ・アルバム、あまり大っぴらにはお薦め出来ない。率直に言えば、後のギター・バンドとしてのとてつもない極みを知るファンにとっては、ここでの今ひとつソリッドさに欠ける稚拙な演奏に思わず閉口してしまう事は間違いない内容だからだ。しかしあくまで記録として聞くならば、興味深い瞬間もいくつかはある。例えば、後にシングル「Kennedy」のカップリングとしてもカヴァーされているトム・ジョーンズの「It's Not Unusual」が初期のライブではアンコールの定番曲だった、という事はこのサイトでも何度か記述してきたが、実際にどの様なアレンジで演奏されていたのかはこのCDで初めて確認出来たファンも多いだろうし、曲目としてはクレジットされていないが、当時のギターリストのピーター・ソロウカが曲の合間に既にウクレイニアン・チューンの"Hopak"の旋律を試し弾きしている所も確認出来る。またDisc 1と2の6ヶ月の間にバンドがタイトにまとまっていった様子もよく分かる。
いずれにしても、ライナーノーツを担当したショーンには申し訳ないが、TWPのライヴ・バンドとしての本領が発揮されるのは、やはり黄金期を支えていく事になる超絶ドラマー、サイモン・スミス加入後の1988年以降の話であり、一刻も早くこの『LIVE 1987』の続編、つまりはカセットの第三巻と第四巻をまとめた『LIVE 1988』の発売を望みたい。なぜならば、このカセット・シリーズの最高傑作がその第四巻、スペイン・ヴァレンシアでのライヴを収めたものだからだ。そこではあの「TAKE ME」や「BE HONEST」の初期ヴァージョンが鮮明な録音と共に収められている。一体、当時のTWPのライヴで何が凄まじかったのか?それはこの第四巻にこそ答えが有ると言っても過言ではなく、カセット・シリーズを聞けなかったファン全員に聴かせたい名演だ。
なお、この『LIVE 1987』はドイツのStickmanから10/19、フランスのTalitres、スペインのHouston Party Recordsから10/22、北米のManifestoから11/6と順次各国のディストリビューターを通じても発売された。
カセット版とCD版の編集の違いについて ライヴの収録でもWAVEレコーダーが使用される事が当たり前になった今日とは異なり、DATも普及していなかった時代の録音でもあった為、ここに収録されたライヴ音源はあくまで記録用にPA卓から録音していたカセット・テープがマスターになっている。その都合、第一巻にあたるDISC 1ではA面の最後が収録時間の制限で、突然カットアウトしていた。この不自然さを回避するために、A面ラストのナンバーだった"It's What You Want That Matters"のエンディングはフェード・アウトされ、カセット版よりも短くなっている。DISC 1ではオープニングの"This Boy Can Wait"の始まる前に入っていたMCもカットされ、曲から始まる様になっているが、これらは全体の作りを考えれば懸命な判断だったと言え、むしろカセット版よりもライヴ作品としての流れがスムーズになっている。DISC 2ではDISC 1ほどの目立つ編集はされていないが、本編終了後とアンコール(そう、この時代のTWPのライヴは今日とは異なり、まだアンコールに応えていた。ノー・アンコールの姿勢が始まったのは1990年1月のツアーからの事だ。)までの間の様子は上手く編集されて短くなっているなど、曲間のMCなどで興を削ぐ瞬間が少なくなっている。
外部リンク
関連文章
(last modified : 1st June, 2008 / first published : 7th January, 2008)